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腹圧をかけると体幹が強くなる?



先日の稽古中、ある女性に「ほら反り腰になってるよ」と注意する場面がありました。

すると意外な返事が。「腹圧をかけてるんですけど、ダメですか?」と。おお、腹圧をかけてる?



経緯はこうです。

なぜだか精晟会渋谷の女性会員は、整体などで反り腰だと言われた人が多いのです。反り腰とは骨盤の前傾が常態化していることを意味するのだと思いますが、それがどの程度の傾きなのか、どの程度なら問題あるのか、私には分かりません。

この女性の場合は、反り腰で腰痛があると言っていたので、チェックするようにしていました。

※技の中では骨盤を前傾させる場面もあります



人間の背骨はS字を描いているのが自然。あくまで素人考えですが反り腰は、そのカーブがキツくなっているということなので、腰椎のどこかに重みが偏ってかかって、腰痛になるのだろうと思います。

その状態で運動していると、さらに一部分への負担が大きくなって痛めやすくなる懸念があります。だから注意したのですが、腹圧をかけていると返ってきたので驚きました。

いったい、どこでそんな知識を得たのと。


聞いてみると、かつてフィットネスで「腹圧をかけると、体幹が強くなる」と教えられたそうです。

うーん、なるほど。そうか。確かに強くなると思うけど、そのやり方は反り腰をキツくするからダメだと思うよ。


それって下腹部を絞めてる感じでしょ? 


確かに、武道でも同じことをする流儀はあるけど、軸の作り方が養神館スタイルとは違うと思うのよ。

とにかく反り腰がキツくなるやり方はNGだと思うし、フィットネス業界的にも、もしかすると過去のやり方になってるかもよ。と話しました。






IAP(腹圧呼吸法)というメソッド


フィットネスの世界で、古くなっているかもと思うのは、『スタンフォード式 疲れない体』という本が出て、腹圧呼吸法というものが広く知られるようになったからです。

IAP自体は、リハビリの重要性を訴えたチェコの神経学者や医師が創設したスポーツ医学専門機関「プラグスクール」で創設以来重要視されてきたそうです。IAPはIntra Abdominal Pressureの略で、本来は腹腔内圧の意味だそうです。


IAPのメソッドを開発したのはパベル・コラー博士。

博士が提唱するDNS(動的神経筋安定化)という“筋肉より神経に着目した身体機能理論”の中で、人はみな、赤ん坊のときに「お腹の圧力を保ったまま呼吸」しているといいます。乳児期、腹圧呼吸をすることで体は徐々に安定しはじめ、首が据わり、寝返りが打てるようになります。そして、やがて赤ちゃんは立てるように。 これこそまさに「体の中心が安定し、スムーズに中枢神経と体の各部が連携する、万人に共通する最適で効率のいい体の使い方」とありました。



『スタンフォード式 疲れない体』は2018年に初版が出ていますが、2019年出版された『室伏式 世界最高の疲労回復』に、ほぼ同じ内容が簡単に出てきます。

室伏広治さんがスポーツ庁長官になられる前ですが、どういうことだろうと注目して調べるとパベル・コラー博士とは旧知で、ご自身も博士の指導を受けられている。どころか、なんと日本に招かれ、セミナーをプロデュース(?)されていたので驚きました。


室伏式世界最高の疲労回復表紙


パベル・コラー博士の言われる姿勢とは「常に動いている中で制御するもの」とか、とても共感する部分が多いのです。姿勢をいう人のほとんどは、立位で静止した状態のもの。静止した状態どうのではなく、動きの中の考え方じゃないと、武道的にはあまり参考にはならないと思います・



ともあれ広い話ではなく、今回は腹圧です。IAP(腹圧呼吸法)の腹圧の考え方はどうなっているのでしょうか。



ちなみに、『スタンフォード式 疲れない体』は、長い長い「丹田から出す力って、なんだ!?」の後半で取り上げています。腹圧をかけることの功罪についても書いています。

『室伏式 世界最高の疲労回復』は「年末年始に読むのにちょうどいい『室伏式 世界最高の疲労回復』」で書いています。この本の体幹ボックスという概念は、IAPを理解しやすいと思います。




腹圧をどうかけるかの違い


腹圧について調べると、「腹筋と横隔膜の収縮によって起こる腹腔の内圧のこと」という解釈が一般的だと思います。


腹筋とは、「腹を割る」と言われたりする腹直筋だけではなく、外腹斜筋や内腹斜筋、そしてインナーマッスルである腹横筋があります。

そして腹筋ではありませんが、横隔膜もインナーマッスルです。呼吸にはあまり関係なさそうですが、姿勢を維持するインナーマッスルである多裂筋もあります。


腹腔とは、横隔膜より下の内臓が納まっている空間のことです。



室伏さんが『室伏式 世界最高の疲労回復』でお書きになっている体幹ボックスとは、上下に横隔膜と骨盤底筋があり、腹横筋などの腹筋で囲まれたエリアのこと。

一般的に、「体幹が」と言われるときには、腹筋・背筋みたいなことだけが語られがちですが、上下があってこそ腹腔だし、腹圧の考え方だと言っていいと思います。



そして腹圧をかけるとは、従来はほとんどが腹筋を絞る、締めるだったと思います。


最初に書いている「それって下腹部を絞めてる感じでしょ?」の状態です。下の図の、Aの状態です。これは、いわゆる腹式呼吸の「息を吐いているとき」と同じ構造かと思います。確かに、腹圧は高まっているでしょうし、体幹が締められて強くなっているはずです。


それに対して、IAP(腹圧呼吸法)では「息を吸うときも吐くときも、お腹周りを固くしたまま息を吐き切るのが特徴です」と、『スタンフォード式 疲れない体』に書かれています。

IAP=腹圧呼吸法としたのは、この本の著者、スタンフォード大学スポーツ医局のアスレチックトレーナー・山田知生さんです。


山田知生さんは、たとえていうなら、筋トレをしたときのお腹は「外側の衣だけが固くて中がからっぽのコロッケと同じ」、そしてIAP(腹圧)が高まったお腹は「外側の衣だけが固くて、具もパンパンに詰まって膨らんだコロッケ」だと書かれています。

スタンフォード式疲れない身体表紙


IAPでいうところの腹圧とは、外へと膨らませる圧と、内に締める圧が拮抗している状態と言っていいと思います。

どういう方法であれ腹圧を高めれば、体幹は強くなると思いますが、それ以外の効果がちがってくるはずです。




IAPで腹圧を高めることのメリットは


その効果としては、次のように書かれています。


  • 腹圧が高まることで、体の中心(体幹と脊柱)がしっかり安定する

  • 体幹と脊柱が安定すると、正しい姿勢になる

  • 正しい姿勢になると、中枢神経と体の連携がスムーズになる

  • 中枢神経と体の連携がスムーズになると、体が「ベストポジション」(体の各パーツが本来あるべきところにきちんとある状態)になる

  • 体が「ベストポジション」になると、無理な動きがなくなる

  • 無理な動きがなくなると、体のパフォーマンス・レベルが上がり、疲れやケガも防げる


あくまで私の私見ですが、腹式呼吸的に腹圧を高める方法でも、効果の3つ目まではあるはずです。

でも4つ目の(体の各パーツが本来あるべきところにきちんとある状態)からが難しいのではないでしょうか。

なぜなら、腹を締め、特に下腹部が締まっている状態なら、内臓の位置はベストポジションではないはずです。少なくとも反り腰の人がやると、骨盤の前傾が強まり、腰椎にとっても負担だし、内臓も圧迫されているかもしれません。


IAPでの腹圧は、建物の梁構造のように身体を支えます。体幹そのもので、太い幹のような軸と言えるかもしれません。




本書には、「お腹を引っ込める呼吸」だと、動的安定性が保てないとあります。

そう、『スタンフォード式 疲れない体』では動かない呼吸法として取り出してIAPを行うのではなく、動いてる間も腹圧を高めた状態を作れと言っているのです。

運動中だけではなく、普段も、ということですね。




メインテーマが疲労になっている理由


それと今回は腹圧がテーマですので詳しく書きませんが、『室伏式 世界最高の疲労回復』でも『スタンフォード式 疲れない体』でもメインテーマが「疲労」になっているのは、理由があります。


先に書いたように、DNS(動的神経筋安定化)は“筋肉より神経に着目した身体機能理論”です。

簡単にいえば、疲れを感じている人は、神経のコンデションが悪くなっている。

疲れやすい身体は姿勢が崩れている。身体の歪みは、中枢神経を乱すトリガーとなる。歪みと密接に関係しているのは「体内の圧力」という考え方です。

まるで負のループのようですね。



どうやって腹圧呼吸法を行うかは、『スタンフォード式 疲れない体』を買って読んでください。詳しく記載されています。


まずは、呼吸法としてやり方を習得する。私はあっさり出来たので、それほど難しくはないと思います。まずはそれが出来てから、動きの中でも腹圧を高めたままにする方法を掴む、という手順です。



一応、付け加えておきます。

もちろん今までに呼吸法なんてやったことない。横隔膜って何?という人には、さっぱりな内容かもしれません。一般的な胸式呼吸や腹式呼吸と比較すると、数段難しいと思います。

疲れない・疲労回復といっても、マッサージであっという間に肩こりがとれた。エナジードリンクでシャキッとした、みたいな即効性のある内容ではありませんので、念のため。





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