先日、ニューバランスのFresh Formテクノロジーを使ったシューズを二足買いました。Fresh Form X860 v14とFresh Form X880 v14 Gore-Texです。
なんで2足なの? と聞かれそうですが、最近やたらと歩いているのです。毎日1万歩強ぐらいを。仕事でもっと歩いているぞという人は、いくらでもいらっしゃるでしょう。でも私の場合は、出かけなければまったく歩いていなかったのです。
スニーカーの機能性に興味のなかった私が、靴のテクノロジーに無頓着なまま歩き続けると、足指が水ぶくれになったり、足のあちこちが当たって痛くなったりと。どうするよとなって、とりあえず良さそうかもと思ったのがFresh Formだったのです。
実はこの前に「合気道だけやっていても運動不足かも」というテーマで途中まで書いていたのですが、それより歩く話を先にと思ってこれを書いています。
今回の構成としては、
最初に、なぜ歩いているか、どう歩いているか。
そしてFresh Formをなぜ選んだのか、実際に使ってどうなのか。
ハイテクシューズを履くことのマイナス面について。
の順になっています。
どうして運動不足なのかだけ書いておくと、それは座りすぎだから。
座りすぎの害はどこでも叫ばれていますが、スポーツ庁は「日本人が世界で最も長時間座っている。座りすぎだ」とメッセージしています。横浜市は地下鉄で「30分に1度は立ち上がって、体を動かしましょう」というCMを流しています。腰痛等にならないためにという趣旨です。
以前にも書いていますが、私は1時間に一回ぐらいトイレに行けよ。それが出来なかったら貧乏ゆすりしなよと、腰痛などの渋谷合気道会の会員には言っていました。
渋谷合気道会の会員は、仕事で座りっぱなしや通勤時間が短い、あるいはリモートの日が大半という人が多いのです。もちろんエッセンシャルワーカーなら、健康のため仕事以外に運動するなんてことは不要だと思います。
そんなことを言っている私も、こんなブログを書いていたり動画の編集をしていると、気がつけば数時間座りっぱなしだったりします。
そうすると身体の活動量自体が激減するし、いろいろ滞るのでしょう。
近年、脳を鍛えるには運動が不可欠。動きを良くするには、脳を使わないとダメだいう医学博士たちによる書籍が増えています。
『脳を鍛えるには運動しかない』という本は、このジャンルのもはや古典とも言えると思いますが2009年の発行です。今年買った『脳と身体を最適化せよ』には、「ジムでの激しいトレーニングも、その後一日中座り続ければ、実質的に帳消しになる」とあり、心肺フィットネスの問題が書かれています。アメリカのエグゼクティブは仕事前に筋トレをしているという話題がありますが、この説が事実なら、筋肉はついても心肺フィットネスはゼロなのかもしれません。興味があったら、読んでみてください。
まずは身体活動量を底上げするために歩く
稽古のあるときは、リュックを背負って4、5駅程度を歩いたりします。都心の駅間だと、だいたい2000歩程度なので、1万歩行こうと思えばそうなります。でも歩数よりも、私は時間です。
毎日風呂に入る前に体組成計に乗っていますが、数字で傾向をチェックしていると、負荷よりも、まずは時間かなという推測をしてしまいます。それも週に2、3日じゃなくて、毎日やるのがいいと考えています。
iPhoneのヘルスケアアプリを信じるなら、1万歩歩いたところで消費カロリーは300キロカロリー程度なので、ご飯茶碗一杯分ぐらい。なので、ただ歩くだけで痩せるわけはないのですが。
いやあの私、体重はまったく減らしたくないんです。減らないようにカロリーをとっています。
それなのにこの1年間で、5キロ近く減っています。もちろん歩く以外の鍛えることも、毎日1時間以上はやっています。因果関係は分かりませんが、毎日歩いて身体的な活動量を底上げしたのが理由でしょうか。
まあ60歳を過ぎると痩せてくるといいますので、ただ加齢のせいかもしれませんが(笑)
とりあえず体重うんぬんは二の次。心肺機能は常に鍛えておかなきゃ低下するばかりだし、後述しますがHIITとしてやっていた坂道ダッシュの代替になるような運動として歩くが目的です。
私が一番維持したいのは俊敏性。たぶんそこは大丈夫、絶対的な速度は63歳の現在でも、まだ早くなっていると思います。
ですが、問題は持久力。自由技を稽古していると、年々衰えてるなあと実感します。それは筋持久力じゃなくて、心肺機能がカギなのかなと思っています。
自分としては技術はまだ向上できたとしても、50歳ぐらいのときの身体能力をできるだけ維持したい。何をしたらどうなったかは、とりあえず体組成計での数値を傾向として目安にしています。体組成計での体年齢は実年齢よりも10歳以上若いので、合気道の稽古以外の身体的な活動によって、可能な限り維持したいと考えています。
とにかく体重は減らしたくない、体脂肪や内臓脂肪は減らしたい。心肺能力は高めたい。です。
そもそも私は有酸素とか筋トレとか、ファンクショナルトレーニングやストレッチ、調整などを、あまり区別していません。要素に分解して行うことは、ともすれば不自然な行為に振り切ってしまいがちです。
運動不足という言い方もどうかなと思うのですが、年齢に関係なく万人が、まず人間としての身体的な活動量を底上げしないとマズイ時代だと思っているのです。そのベースがまずは歩くことだと。ジョギングだろうがランだろうが、毎日するのは大変です。
でも歩くことなら、出かける延長でできてしまいます。
シューズ以外、服装は特に揃えなくてもいいですし。いや、現実は毎日歩くのも大変です。真夏だと、汗が滝のように吹き出して全身濡れてしまいます。稽古前だと、着替えを用意しておいて、毎回のように銭湯に行っていました。
リュックを背負って歩くラッキング
リュックを背負って歩くことを、「ラッキング」と言います。当然、荷物のないウォーキングよりも運動強度が高い。重りを入れたラッキングは、国際的な軍事訓練の定番なんだそうです。
私の背負っているリュックには道着や袴ほかが入っているだけなので大したことはありませんが、稽古に行く/帰る。その過程を軽めのラッキングにしてしまえば、特に運動するぞと準備することもありません。
荷物を背負って歩くことは、そこそこプリミティブな方法のような気がします。
剣杖袋を持っていることが多いので、それも負荷になります。
都心だと、とんでもない混雑があります。インバウンドで、渋谷や原宿の中心エリアは大変なことになっています。そこを、ぶつからないように体捌きしながら歩くので、有酸素だけではないトレーニングになっていると思います。
疲れてきても姿勢を維持して、体軸を前傾させたり、腰の力を抜けたりしないように歩いていれば体幹、特に背筋群を鍛えているんじゃないかと思います。
ナイキの公式サイトによると、「重りが加わることで、同じペースでもより大きな負荷が筋肉にかかり、強度が大幅に上がります。ウォーキングやランニングを平地で行う場合と上り坂で行う場合と同じくらい、その効果には差があります」と書いています。
またエビデンスとして
負荷を増やすことでより心肺機能に働きかけるラッキングは、有酸素運動能力を効果的に高められるエクササイズなのだ。 事実、『Journal of Strength and Conditioning Research』に掲載された2019年の研究論文によると、健康な男性(慢性疾患がないと診断された男性)が10週間のラッキングプログラムを実施した結果、最大酸素摂取量(V02 max/有酸素運動能力における一般的な基準)に大幅な改善が見られた。
ともあります。
リスクについても書かれているので、興味のある方は読んでみてください。
悪路の坂道ダッシュだからスニーカーが壊れる?
コロナで緊急事態宣言が出たとき、これはマズイと、深夜に坂道ダッシュをしていました。週一ぐらいですが普通の坂道ではなく、舗装があちこち崩れて凸凹だったり、ちょっと土や砂が流れ出てきて路面に被っているような近所の狭い裏道です。
夜の10時にもなると、まず誰もいませんでした。
そこで20秒間ダッシュして、10秒流すを繰り返すHIITのつもりで。
普通にキレイな坂道なら走るのも安全ですが、悪路だと接地は不安定で危険です。私はそのことが逆に、対応力を養えていいと考えていました。良い子はマネしないでください(笑)
実際、そんな道を街灯のあかりだけで走るのはバカしかいません。
ところがコロナ禍が日常になると、夜でも会社帰りの人など、ちらほら歩くようになってきました。人がいると、それを避けて走るので危険度が増します。なので止まったり歩いたりしていたのですが、それだとHIITになりません。
やめたのはそれだけではありません。スニーカーが壊れてしまうのです。
ラン専用のシューズは持っていませんでしたが、手持ちのスニーカーは二足ダメになりました。じゃあ買えば良さそうなものですが、私はハイテクスニーカーに対して否定的なんです。それも、後述します。
困っていろいろ探してたんですが、良かったのはワークマンのこのシューズです。アスレシューズライト約150kgとあります。たぶんオレンジが売れ残りだったでしょうが、なんと980円! 2022年の4月に買っています。
軽くてペラペラなんですが、もちろんクッションはあります。踏み込んだところが平らじゃなくても横滑りしないんです。足裏の感覚はかなりあって、悪路の坂道ダッシュには最適でした。初めて買ったワークマンのシューズですが、凄い性能だなと驚きました。
ただ通気性が良すぎて、冬場はアッパーから入ってくる冷気が厳しかったのですが。
長時間歩くと足指に水ぶくれができる
そんなこんなで、じゃあ歩こう。長い時間歩こうとなったのですが、やっていると困ったことが。足の指裏に水ぶくれができるんです。たぶん原因は、足の指がズレて遊んでしまうから。
スニーカーも革靴も、ほとんどの靴がダメでした。もう毎日足指に水ぶくれが出来ては潰れるような状態。そして、足のあちこちが痛くなります。
水ぶくれにならなかったのは、DANNER FIELD LOW。ショートブーツです。Gore-TexラインニングとVibramソールなので、雨の日や地面がぬかるんでいる場所でも平気です。
欠点は長い時間歩くと踵の上、アキレス腱のあたりが擦れて痛くなること。靴下も、そこが破れてきます。そしてブーツ自体がかなり重いので、あまり早歩きできません。
一番良かったのは、ニューバランスのコラボシューズ。MS247CHBという品番ですが、情報がありません。アキレス腱付近まで包まれて踵が安定しています。
ただ踵は安定しているといっても、だんだん緩んできて上下に動き出します。だから、たびたび靴ヒモをギュッと締め直す必要があります。4年ほど前に買っていますので、ヘタってきています。
他にも今年、ニューバランスの610を買いました。ML610DEという、トレイルランからタウンユース用にシフトしたモデルなんだそうです。歩くと地面を面とか線というより、点で食い込んで捉えているという感じで面白い感触です。シューレースは、ドローコードで着脱するようになっています。
これも安定して包まれている感じだけど、だけど親指が痛くなりました。
そもそも前者は26cm、後者はネットで買ったのですが細いタイプのようなので26.5cmにしました。たぶん型やサイズがジャストフィットではなかったのでしょう。
下の写真の手前がML610DE、奥がMS247CHBという品番です。
610は現在も販売されていますが、ML610DEはもうないみたいです。現在は、アッパーの模様のようなところがテラっとしているML610Tが後継モデルのようです。
ニューバランスのシューズはタイプもバリエーションも多く、分かりづらいです。たぶんリニューアルしたり、廃盤になるのも早いのでしょう。
じゃあもうニューバランスのお店に行って、フィッティングしてもらうしかない。と、いろいろとニューバランスの情報を集めました。他のメーカーでもいいのがあるかもしれないけど、私のこれまでの経験では、痛くないのはニューバランスだけでした。
今までは機能性に無頓着でしたが、ニューバランスのシューズには様々な機能が搭載されている。歩く・走る向けのテクノロジープラットフォームが 「Fresh Form」。そこに、アッパーやらアウトソールやらミッドソールそれぞれのテクノロジーが使われているらしいということを知りました。それも年々バージョンアップしているそう。
それならFresh Formから選んでみよう。替えも必要だし、1足はGore-Texものにして雨の日だって歩けるようにしたい。夏場にDANNERのショートブーツは履けません。
あとは、とにかくお店で履いてみようとオフィシャルストアに出かけました。
接客時間が桁外れに長いオフィシャルストア
ニューバランスのオフィシャルストアは見るのも初めてでしたが、スニーカーの種類が少なくて、えっ、これだけしかないの!? と戸惑いました。Fresh Formから選ぼうと思っていたので問題ないのですが、公式ECサイトのように豊富にありすぎで知識がないと選べないじゃん、という感じではありません。
もしかすると、ABCマートのニューバランスコーナーよりも少ない感じです。
たぶんオフィシャルストアに並んでいるのは、最新のモデルばかりなのだと思います。オフィシャルECでもAmazonや他のショップでも、古くなったヴァージョンは安くなっているみたいです。
シューフィッターの資格者がいるお店に行ったのですが、店員さん達はみんな接客中です。平日の昼間に行ったのですが、店内は混み合っているという感じではありません。少数の客は、みんなニューバランスを履いていて、ああでもないこうでもないと接客されているのです。
皆さん、ガチで買う前提で来ているファンばかりな感じ。なかなか驚きです。
私はどうするよ、またにするか?とも思ったのですが、この感じはいつ来てもたぶん同じだなと、待つことにしました。
機能性シューズは、Fresh FormとFuelcellという二つの棚に別れていました。ざっくり分けるとFresh Formは、ランとウォーキングで日常づかいにも適しているというモデル。Fuelcellはラン専用、脅威の反発弾性とエネルギーリターンで弾むようなライド感が売りのモデル。
待っている間にFuelcellを手に取って見ていると、やたらとカッコイイのです。なんか飛んでいきそうなデザインです。
Fresh Formのデザインは、ソールの部分がやたらと厚くなっていますが、それ以外はよくあるニューバランスのイメージ。ただ両方とも、驚くほど軽い。
私の番が来て、Fresh Form X880 v14 Gore-Texの26cmがあれば履いてみたいと伝えました。靴底にdurably waterproofとあります。履いてみると、なんて感触だよと思ってしまうぐらい未知の柔らかさとホールド感でした。
両足履いてくださいと店員さんに言われて足を入れると、「親指が当たってますね。小さいです」とおっしゃいます。まあ当たってるけど、これでいいっちゃあいい。当たってるけど、なんていうか伸縮性のある素材っぽいので、大丈夫な気もする。たぶん、他の店なら「大丈夫そうですか?」ぐらいしか言われなさそうです。
店員さんは、26.5cmをストックから持ってきてくれました。歩いてみてくださいということなので、歩いてみると、まだ親指が当たってるといえば当たってる。そう伝えると、27cmを持ってきてくれました。私が驚いていると「あまり27cmは履かれませんか?」とおっしゃいます。
「27cmは初めてです」と伝えました。
私が持っているMS247CHBは26cm、ML610DEは26.5cm。この880は、その両方より前足底のあたりが広く、ボテっとしたフォルムなんです。さすがに27cmだと、足指が遊んでしまうんじゃないかと思いました。ところが店内を歩いてみると、なぜだか大丈夫でした。
じゃあ一足は880 v14 Gore-Texで、もう一足。
待ったてる間に見ていたFuelcellの26cmをお願いしました。見た目だけです(笑) 26cmでもどこも当たる感じはないですが、歩いてみると、これが880よりもさらに未知の感触。ちょっと浮かんでいるような感じで笑えてきます。軽く踏み込むと、弾んできます。
これはさすがに、ちょっと。
カーボンプレートが入っているそうですが、私はアシスト付きで早く走りたいとは、まったく思っていません。
それで、Fresh Form X860 v14をお願いしました。
すると先ほどのX880 v14 Gore-Texと同じプロセスを辿って、27cmになりました。860と880は、フォルム的には同じだと思います。ソールだって後ろや横にはみ出しているし厚底なので、すでに持っているものより、かなり大きな感じです。
模様的なデザインは、シュータン部分の仕様が、少し違います。
履いてみた感触は、X880とX860で大きな差はなさそうでした。
この二足を買って帰りました。
しかし、こんな丁寧な接客をしていれば、時間がかかって当然です。いままで革靴メーカーの直営店でも、こんな対応はされたことがありません。店内を歩いた経験もほぼありませんが、ここの客は歩き回っているのです。
ちなみに880 v14 Gore-Texは真っ黒しかありませんが、860 v14は上の写真のような白黒ではなく、白一色やブルーのアッパーに白いソールというタイプもあります。
860 v14はAmazonで、なんと28%引きになっていました。私にとってはなんだよそれ、ですが、もしかしたら、もうすぐv15が出るのかもしれませんね。逆に880 v14 Gore-Texは、なぜだか異常に高くなっています。オフィシャルストアに行った方が間違いないです。
1時間以上歩いても、どこも痛くならない中毒性
買って帰った翌日の稽古に、880 v14 Gore-Texを履いて出かけました。もちろん1万歩以上歩いて帰宅しました。奥様が「買ったばっかりの靴で、そんなに歩いて大丈夫なの?」と聞いてきます。
それが驚いたことに、どこも痛くないんです。つま先から甲にかけての空間は少し余裕があるのですが、足指が遊んだりもしません。足自体の疲れも、ぜんぜん軽い感じなのでびっくりです。いや軽いというよりも、特に何も感じません。
くるぶしの下あたりも柔らかく支えられている感じで、踵のホールド感と安定性がかなり高いのです。
でも底だけじゃないんです。
横も後ろも、柔らかく包んでいる感じ。それでいてフニャッとするかというと、ちゃんと硬質な感じがあります。足を入れる口のところ。ここもさらに強く締めている感がありますが、まったく痛くはないんです。かなり不思議です。一見似ているMS247CHBにはないホールド感です。
880も860も気持ち良くて、中毒性があるというか。
出かけるとき、何も考えずに靴選びをすれば、このどちらかを履いちゃうだろうなという感じです。
両方使ってみて、私がより気に入ったのは860 v14。860は880よりも、踵のホールド感と安定性が高いと思います。また880のアッパーは、860よりもやや硬いかもしれません。
GORE-TEXだからなのかもしれませんが、あくまで両方を比較すると、という感触です。
それともうひとつ。このところは最高気温こそ10度以上あっても、朝晩はグッと冷え込む日が増えています。860も880も、つま先前方は少し硬い素材でガードされていますが、アッパーの甲の前方部分はメッシュになっています。スタスタ歩いているときは気になりませんが、信号待ちをしているときに強い風が吹いてくると、時にメッシュから冷気が入ってくることがあります。
この比較でいうと、860の方が強く入ってくる感じです。もしかすると、真冬の朝晩だと厳しいかもしれません。いくら気に入ったのが860でも、これからの季節は880をメインで履きそうです。
MS247CHBのアッパーは同じようなメッシュ構造で、やはりふわっと冷気が入ってきますので、そもそも私の中では夏用という位置付けでした。
地面をグリップする力
とんでもない坂道を、あえて登ったり降ったりもしますが、860も880もまったく問題はありません。安心感があります。もしかするとDANNER FIELD LOWのVibramソールよりも、グリップ力が強いかもしれません。ソール自体のグリップ力だけではなく、FIELD LOWでは靴の中で足裏が遊ぶ空間がありますが、860も880も遊びませんので余計にそう感じるのかもしれません。
860と880をひっくり返してみると、ほぼ同じですが少しだけ違いがあります。
写真で分かりにくいところを補足すると、880の方が若干溝が深くなっています。もしかすると濡れた路面を意識した設計なのかもしれません。
もちろん、860に不安があるわけではありません。両方とも踏み込んだときに少しソールから反発がきますが、下り坂などではそれによって勝手に足が前に出ていく感じです。それでも、キチンと地面を掴んでいるようです。
参考までに右の、トレッキング出身のML610DEのソールはこんな感じです。地面を噛んでいるような感触があるのは、こういう形状だからなんですね。いや形状だけではなく、ML610DEでは地面の状態はソールから伝わってきます。
ところが860も880も、ソールが厚すぎるからか地面の情報はまったく伝わってきません。なんなら浮いている感じさえあります。そこが私には問題です。
高機能シューズは足裏を使わなくなってしまう?
あまりに足裏からの情報がないので、わざと落ち葉が積み重なった歩道の端を歩いてみました。すると音で判断できるものの、靴の裏が滑っている感触が伝わってこないのです。落ち葉が積み重なっていれば、葉と葉の間が滑ります。それが触覚として伝わってこないのは、ちょっと怖いかも。
厚いVibramソールでも同じですが、踏みしめている感がない分だけ、Fresh Formの方がおそろしい感じがします。
日本の武道のいいところは、裸足で稽古するところ。日常生活で、どんどん使われなくなっている足指を使います。
渋谷合気道会の稽古では、小指球、拇指球、踵という三点の使い分けも言いますし、親指をパカっと上げて前足を滑らせたりします。養神館では、残心などのときの後ろ足は親指で噛んでいます。
ハイテクシューズを長い時間履くことで、足指や足裏を使うという自分の身体の機能が薄れていくのでは、という懸念があります。
シューズの機能性と自分の足裏の機能性は、トレードオフの関係にあることは間違いなさそうです。
私の場合は稽古時間も長いし、家でも足裏は使っているので大丈夫かと・・・
それが嫌なら雪駄を履けよと言われそうですが、それはさすがに難しい。足を痛めないように長い時間歩くためにはハイテクシューズが必要ですが、どれぐらいの時間履くか、どれぐらいで折り合いをつけるかは課題かなと思っています。
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