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『反射が生む達人の運動学』は即買うべき。それぐらいに画期的な内容かと


反射かぁ。大事だけど、それだけで一冊の本になるのかな。と半信半疑で、書店で立ち読みしてみた。少し読んだだけで、あ、これは買うでしょと即レジへ向かった。

武道関連の本で、私がこんな反応をするのは珍しいのです。



私が書籍『反射が生む達人の運動学』に反応したのは、こんな3段階。

1.何より反射をこれだけまとめた本は、私が知る限り他にはない。

2.反射は身体に備わった自動的な仕組み。この参考書で研究すべし。

3.この手の本は、書店からは1年もせずに消える。後からAmazonで高い中古本を買いたくない。


著者の中島賢人先生は合気道の方ではありませんが、もちろん合気道をしている人にはオススメしたい書籍です。(プロフィールはこちらに



この本は引用すると、分かる人にはそれだけで分かってしまうので、できるだけ引用しないようにします。なので今回は大枠で「反射について」と、本書の概要を書いていきます。




そもそも反射って何? 合気道にどう使う?


合気道の技には、反射を使っているものが数多くあります。

いや、反射に関係ない技は、もしかすると皆無かもしれません。

たとえばYouTubeに[手ほどきと護身の離脱法]という動画を作っていますが、この途中に出てくるのは「屈曲逃避反射」です。そんな名称は、本書を読むまでは知りませんでした(笑)


ちなみに本書ではそんな風には書かれていませんが、相手の手は熱いヤカンではありません。触ったイメージを使って、何より相手にこちらの動きを察知させないために行っています。



この「屈曲逃避反射」で熱いヤカンに触れたときの手を引っ込める反応は、著者が「反射」を簡単に認識するために、日常生活で体感できる例えとして使われています。

『反射が生む達人の運動学』の反射の定義は、簡単には「なんらかの刺激に対する無意識の反応」です。


運動全般で広く知られているのは、脊髄反射かと思います。たとえば腕を掴まれた。その反応が脳まで行かず、脊髄内で完結する。だから、すごく早い。

もちろん反射は脊髄反射だけではありませんが、難しいので「なんらかの刺激に対する無意識の反応」でいいと思います。



顎反射に従う]という動画の概要欄には、こう書いています。

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人間が意識しなくても倒れず立っていられるのは、姿勢反射という機能のおかげです。その中でも重要な反射の一つに頸反射があります。

もちろん合気道の力は複合的ですが、頸反射の作用は原則的です。頸反射と異なる現象が起こっていれば、それは自然ではありません。

塩田剛三先生は「合気道は自然を最上とする武道」だとおっしゃっています。

自然でなければ、怪我や故障にもつながります。


頸反射に沿った動きで技を行うことは、最上であることの近道かもしれません。

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通常、合気道では反射や骨格構造で説明されることは少ないと思います。気だったり観念的な解釈が一般的だと思いますが、反射や骨格構造にそぐわなければ、それは間違っています。

人間の身体である以上、どんな力を使おうが、身体としてありえないことは起こりません。



とはいえ、反射についての情報はそれほどありません。

私が知らないだけかもしれませんが、本書にはぜんぜん知らない反射の仕組みが出てくるのです。主要参考文献として何十冊も記載されていますが、当然のように専門書ばかり。私が知っていて、読んだことのあるのは一冊だけでした。




反射の仕組みを知っていれば再現する精度が上がる?


しかも、本書は反射入門というだけではなく、達人技は反射という側面から説明できるというところまで行っているのです。


本書に書かれていることが、どれも正しいのかどうか、私には判断できません。

今まで反射というと、メンタルな影響が大きい多いと思っていました。しかし、合気道の技には『反射が生む達人の運動学』の「達人技を可能にする反射」の章に書かれている生理的反射のほとんどが、使われているじゃないか。と思えるのです。


反射が生む達人の運動学

とりあえず「達人技を可能にする反射」に出てくる、反射の項目10種だけをピックアップすると以下の通りです。

  • 伸張反射

  • 陽性・陰性支持反応

  • 手掌把握反射

  • 足底把握反射

  • 緊張性頚反射

  • 緊張性迷路反射

  • 立ち直り反応

  • パラシュート反応

  • 傾斜反応

  • シーソー反応


合気道の技でも実際のところ、伸張反射・緊張性頚反射・緊張性迷路反射・立ち直り反応・傾斜反応・シーソー反応などは、当たり前に使っていると思います。

手掌把握反射や足底把握反射は、なんだそれ???でした。でも読むと、これもあるなと思えるのです。


合気道ではそれらを反射として扱わず、観念的に説明しているはずです。

どう使うかじゃなくて、すでに使っていると思いますが、技の要になるのが「反射」で、どういう身体の仕組みなのかを知っていれば、再現の精度が上がるはずです。


もちろん反射が核であっても、技のすべてではないので、どう稽古して精度を高めていくかは難題です。




瞬間的に爆発的なパワーを生む反射


そして本書のメインテーマは、声帯以外のほとんどの筋肉に備わっていて、「瞬間的に爆発的なパワーを生む」ための反射、伸張反射です。


伸張反射は比較的ポピュラーだと思いますが、「筋肉が伸ばされると、元の長さに戻ろうとする反射」です。それを知っていても、瞬間的に爆発的なパワーに生むことになるのか。

その方法が、いろんな手法で書かれているのですが、身体がそれなりにできていて、しかも筋肉をパーツごとに意識でき、動かせることが前提になっていると思います。


そこまで行っている人は、反射だなんだと言わなくても、すでに相当に使える人でしょう。まあ、タイトルが達人の運動学ですから、難しくて当然ですが(笑)



一つだけ。

たとえば上の「手の支持反応による合気上げ」の画像。中島賢人先生がお書きになっている技の方法そのままじゃなくても、支持反応をイメージで誘発させる方法はあると思います。


さまざまな技の中で、支持反応は使っていると思いますが、理屈が分かれば強化方法としても使えるはずです。



最後の章は「達人技の実際」。

とてもとても難しいですが、筋道を把握した上で個別のプロセスではなく、手順をイメージとしてまとめれば、習得しやすいかもと思いました。


だとすれば合気道の多くの観念は、そんなに間違っていない。問題は精度と汎用性、そして何より再現性のような気がしてきました。



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