先日、ある女性から合気道は正しい姿勢になりますか? スタイルは良くなりますか?という趣旨のことを聞かれました。
さまざな武道や格闘技、スポーツでいいとされる姿勢は、ちがうのではないでしょうか。きっとヨガやダンス、整体などでもちがうと思います。
いいスタイルも、人によって思い描くのは千差万別ではないでしょうか。だから、そんなことわかりません(笑) と答えたのですが、さらに質問されました。
「姿勢が悪いと、へんなところにお肉が付いたりするじゃないですか。運動しなきゃと思うんですが、偏った筋肉が付くのも嫌だし」というものでした。
なるほど、最近よく言われていることですね。それなら多少は答えられるかなと思います。
養神館合気道は、姿勢を重視しています
どんな武道でも姿勢について言われますが、養神館合気道は細かい方だと思います。構えから残心まで、詳しく書いているときりがないですが、中心力を重視し、体の重み・重力を味方につけた力の出し方、動き方を重視しているのだと思います。
足は両方とも外を向くのですが、構えのときはバレエの立ち方に近いです。体の中心に力を集めるので、上達すればリラックスして立つこと以外の力を使わなくなりますし、バランスのとれた立ち方になります。
胸を張り、肩を落とすので、肩甲骨が寄って、巻き肩や猫背の解消になると思います。
腰が入り、丹田つまり下腹が充実するので、スタイルが良く見える立ち方だと思います。
ただ稽古のときだけじゃなくて、そんな姿勢や意識を日常でどう活かせるかというところがポイントです。だって圧倒的に長時間なのは、日常なのですから。
どんなに姿勢を矯正しても、日常で戻ってしまう
姿勢を教える教室やヨガなどでも同じだと思いますが、その場所でできることよりも、日常でどれだけ続けられるかが重要です。とはいっても、仕事をしていればなかなか難しい。
稽古のときに若い男性の有段者から、会社がノートパソコンなんですと聞かされました。ノートパソコンはダメだわ。長時間向き合うのは、どうしても無理がある。私も家ではノートパソコンですが、長時間続けて使わないようにしています。
スマホもそうですが、そもそも無理のある姿勢でしか使えないのだから、どうしましょう。私はできるだけ姿勢を固めないように、クネクネと姿勢を変えています(笑)
健康面ではもちろん、あくまで私見ですが「へんなところにお肉が付く」というスタイル面でも、コリは大敵ではないでしょうか。無理のある姿勢を続けていれば、どこかが過剰に緊張して血行が悪くなって凝る。筋肉が凝れば、動かなくなってきます。
動きを作るのは、さまざまな筋肉
専門家じゃないので間違っているかもしれませんが、筋トレを中心にしたダイエットのパーソナルトレーニング。短期間で痩せるという結果にコミットしようとすれば、筋トレは大きな筋肉が中心になるのだと思います。
大きな筋肉は消費するカロリーも大きいでしょうし、ボディメイクという視点でも見た目が劇的に変わります。
ただ人間の筋肉は、明確にはなっていないようですが大小含めて600を越えているといわれます。その中で、自分の意志で動かせる骨格筋も40%程度あるそうです。あまりボディメイクにはならないかもしれませんが、動きには大小様々な筋肉が動員されていそうです。
合気道は筋肉を鍛えるためじゃないけれども
以前にも書いていますが最近流行しているファンクショナルトレーニングは、「特定のスポーツや競技目的以前に、日常動作のパフォーマンス向上から始めるトレーニング」だということのようです。個別の筋肉を鍛えるのではなく、動作のパフォーマンスというところがポイントで。
特別あたらしいコンセプトではなく、養神館の合気道はファンクショナルトレーニングそのものだと思います。構えそのものが、ただ立つだけではなく動き出そうとするバランスなので、姿勢を維持することに力みなく無理なく必要な筋肉を鍛えます。
基本動作や受身も同様に、動きの中で姿勢を維持する筋肉を自然に鍛えます。
アクロバットのような動作や超人的な動きは求められませんし、肩甲骨や股関節など大きく動くところを動かすので、まさに動きのパフォーマンスをあげるためのトレーニングでもあるのです。
いいスタイルかどうか、ムダな脂肪がついないかどうか。
それがダイエットも、ということなら、週に二時間とか四時間ぐらいの稽古だと消費カロリー的な効果は薄いですよね。食べる量にもよります(笑)
でもあまり高負荷じゃないところも、健康的でいいですよ。