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養神館合気道は、稽古体系が合理的で上達しやすい?


養神館演武大会

体験の申し込みで「養神館合気道は、稽古体系が合理的で分かりやすいとのこと、それを体験したいです」と書いてありました。

あれ、分かりやすいなんて、どこかにあったけなと思ったら、私が書いてました(笑) 合理的も分かりやすいも上達しやすいも、同じことですね。これは何度か書いているように、私自身が他流出身だし、いくつかの合気道流派を経験して実感していることです。

気を重視する団体、流れを重視する流派、様々です。比較すると、養神館は基本となる基準が圧倒的に明確なのです。だから誰が学んだとしても、誰が教えたとしても、合気道として一定の基準までは最速で上達するメソッド、稽古体系になっていると、私は思います。

身体的な感性を、それほど求めないのです。

体験に来られたのは、元合気会の方だったので、合気会と養神館の技を比較して説明しました。

それでは、基本中の基本の技で比較してみましょう。

■合気会の「正面打ち腕抑え - 表技」

基本の技比較するために、正面打ち一教入り身・一ヶ条(一)を取り上げてみます。

植芝開祖は「憶えて忘れろ」「武産合気」で技のマニュアル化である型化からは、遠かった、むしろ否定的な方だと思います。現在の合気会の体系化された技の元になったのは、二代目道主 植芝吉祥丸先生だと言われています。どんな流派も、会派や師範の方々によって、技の思想や細かなところは違っています。

そこで私が持っている中で、初版がもっとも古い合気会と養神館の本から、それぞれの技の原形だと思われる説明を引用してみます。

合気会の技は、初版が昭和45年10月で平成8年10月に改訂新版が出た『合気道教範』から

正面打ち腕抑え - 表技

上の画像は表裏のページをくっつけています。

技名の表記は、こうなっています。

[1]基礎の技

(1)腕抑え(第一教)

正面打ち腕抑え立ち技(表技)

10コマのイラストに、文章が対応しています。解説の文章の特徴として、手・腕についての説明が詳しく、足さばきについては簡単。その代わり運足図(右ページ上)が入っています。

例えばイラストの7から10についての説明を抜粋すると、こう書かれています。

次ぎに左足を1歩相手の前方に大きく踏み出し、両手刀で相手の右腕を刀を切りおろすような気持ちで抑えつつ、右足をさらに前進させて座り抑える。

このように足の動きに関しては、前方、前進、座るしかありません。

そこを補足するのが<運足図>です。穏やかな円弧を描きながら進むのがわかります。しかし取り(仕手)の足の動きしかないので、受けとの相対的な位置関係が分かりません。さらにそこを補足するのが<流気図>なのでしょう。右ページ下にあります。

『合気道教範』はなんどか改訂されているようなので、私が持っているものと違うかもしれませんが、アマゾンではこちらです。

■養神館の「正面打ち一ヶ条抑え(一)」

養神館の技は、初版が平成2年2月の『養神館 合気道入門』から。

まず一ヶ条抑えという大きな括りで、こうあります。

相手の肘関節を中心に、相手の体全体をくずし、うつ伏せに制して、そのまま肘関節を抑える技です。なお、このあとの<二ヶ条抑え><三ヶ条抑え><四ヶ条抑え>は、<一ヶ条抑え>を母体として、それぞれの締めを加えたものです。

一ヶ条が何をするものなのか簡潔なのに、とても具体的です。そして二ヶ条から四ヶ条までの母体であると、位置づけも明確です。

ちなみに先の『合気道教範』の中では、基礎の技の説明の中にこうあります。

固め技のもっとも代表的な技は、なんといっても腕抑え(第一教)である。この技をしっかりと身につけておけば、どの関節技も非常に身につけやすい。それだけにこの技が含む意味はまた非常に大きいといえる。

一教の重要性が、観念的に書かれています。

『養神館 合気道入門』の養神館の正面打ち一ヶ条抑え(一)の説明に戻ります。

養神館合気道入門から

5枚の写真があって、それぞれの説明があります。

足の動きを中心に抜粋します。

・左ページ下の写真

右足から右斜め前方に進みながら、右手刀を丸く返し、左手もそれに従って相手の体勢をくずす。このとき相手の腕をひねって、腕が縦にならないように注意する。

・右ページ上の2枚の写真

手を相手の肩口に押し込むようにしながら、左足から左斜め前方に進み、相手の体勢をさらにくずす。

右足を前に進め、相手を完全にうつ伏せにする。左膝は相手の脇の下におろす。

かなり具体的な説明で、基本技の基本の動きは、これで独習できてしまうと私は思います。

道場では、教える人が客観的にこの動きができているかどうか。そして様々な細かなコツ、レベルや体格差に応じた説明を段階的にするだけでいいと思います。

養神館では師範の方々や会派の指導者によって様々な差異はあっても、初心者に教える「正面打ち一ヶ条抑え(一)」など、この本の基本技の説明に異論はないと思います。

私は「左膝は相手の脇の下におろす」ところを、「脇に左ひざを突っ込む」と言いますが同じことです。

■養神館に構え・基本動作があるのはどうしてか

その他、体験の方には、養神館には構えや基本動作があって、それが技の前提になっていると説明しました。合気会でやられていた方でしたので、構えは不思議なはずです。

植芝盛平開祖は「構えるな。構えると何をするか分かってしまう」とおっしゃっていたそうです。構えないのは、他の武道を長年やっている人からしたら、不可解なはずです。私も、実際に無構えでやれるのは、よほどの達人だけだと思います。

塩田剛三先生ご自身、演武では構えられていません。

それなのに、養神館にはどうして構えの稽古があるのでしょうか。

養神館の構えについて、塩田剛三先生は、こうおっしゃっています。

呼吸力の根本には、中心力があるとして

養神館では構えの稽古を重視していますが、これがじつは、中心力の訓練になっているのです。

構えでは、両手・両足、腰、頭を、一線上に結びます。そして頭から真下へ一本の垂直な軸を作って、そこに重心を置くのです。

この姿勢を維持するのは、初心者の方にとってはけっこう大変なはずです。初めは自分の重心がどこにあるのかとらえどころがなく、手足に余計な力が入って、ブルブル震えることもあります。しかし、これを稽古することによって、不動の中心線を作り上げ、次ぎにそこから大きな力を生み出すための基本姿勢を身につけるのです。

残念ながら絶版になってしまった『合気道修行』から抜粋しました。

基本動作は、構えによって「不動の中心線を作り上げ、次ぎにそこから大きな力を生み出すための基本姿勢を身につけ」たところから、さらに技の動きや体さばきを身につけるための稽古方法だと私は思っています。

井上強一先生によると、合気会になる以前の植芝道場には、体さばきの基本を学ぶための準備運動と、整理体操を兼ねた運動がいくつかあって、それを養神館ができたときに、六本の基本動作として整理・再構成されたということのようです。

基本動作は六本と言っても、単独、相対、そして剣操法でも稽古することができ、ひとりで行う体さばきだけではなく、腕を持たれたときの体さばきでも安定して動くことや力の流れや、剣を持ったときの意識の流れを学ぶこともできる、優れた方法だと思います。

つまり技を行うことの基礎が、構えと基本動作で学べてしまうのです。

■基礎・基本がしっかりしていることのデメリット

養神館は構えと基本動作、そして基本技が明確でわかりやすい。基準がはっきりしている。だから独習もしやすいし、上達が速いのは間違いないと私は思います。

技の設定通りであれば、ゆっくりやっても効く技が行えるようになると思います。

しかし、多くの合気道団体では流れるように技を行います。

養神館の人が理解しやすいように言うと、自由技のように基本技を行うことが多いのです。がっちり握ったところからより、取りにくる、掴みに来るところから始めることが多いように思います。そうすると受けの力の流れを把握しやすく、仕手受けお互いに流れるように技を行うことがやりやすくなります。

別の言い方をすれば、気の流れということです。

養神館の基本技では、打ち突きも、まずしっかり止めることから始まります。体さばきで躱すのは自由技になってから。

私は、止められないものを躱せるのは達人だけだと思います。武道としてなら、まずしっかり止めたり払ったりするのが当然の基本で、それがある程度できるようになってから、躱す・すかすのが習得する順番だと思います。

ただ流れるように行えるようになるための、近道ではないことだけは間違いないかもしれません。

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