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剣の持ち方と、養神館の構えの関係

November 11, 2016

稽古で「あとはブログに書くから読んで」と言ってしまった手前、書きはじめましたが、これが難しいし、ややこしい。初心者向けに書けるのかと考えると、とてもとても書けません。マニアックな内容にしかなりませんでした。

初心者の方は前半をすっ飛ばして、後半の写真が出てくるところを、ざっと見てください。

 

 

 

何を説明していたかというと剣の持ち方構え方、そして徒手での構えとの関係について。

剣の持ち方構え方と言っても、流儀によって、かなり違います。同じ流派でも、その中の派でまた違う。また甲野善紀先生は「両手を寄せて柄を持つ」とおっしゃっていて物議をかもしていますし、新撰組の土方歳三は、現代では「クソ握り」とされる持ち方だったとの説もあります。私が稽古させていただいていた神道夢想流の道場でも、「クソ握り」という言葉を免許皆伝の先生がお使いになったことがありますが、それがまたちがう持ち方でした。なぜか「クソ」が多く使われます(笑)

だから私などがブログで安易に持ち方を語ることは、キケンなのです。

 

 

 

いや私たちは合気道なんだから、合気道のやり方でいい

 

植芝盛平合気道開祖は、どうされていたんでしょう。

開祖がおやりになっていた武器を扱う武道は、柳生新陰流剣術と宝蔵院流槍術とされているけれども、杖はどこで学ばれたのでしょうか。神道夢想流杖術だとおっしゃる方もいらっしゃいますけれども、私は確実そうな文献を読んだことがありません。

 

合気会の中でも、岩間の斉藤守弘先生から学ばれた「合気剣」でおやりになる師範と、他で学ばれた剣術をベースにされている師範がいらっしゃるそうです。面ががら空きで、武術武道としてではなく行法としておやりになっているのではと思える指導者もいらっしゃいます。多そうなのは、剣道連盟杖道の打太刀だと思います。

開祖から合気道を学ばれていた高名な師範は、「植芝先生は合気道は剣の理合いとおっしゃるけれども、剣を教えていただけなかった。しょうがないので国井先生(今武蔵と称された方)に入門した」とおっしゃっていました。だとすれば少数の方々にしか直接伝わっていない、と考えるのが自然ではないでしょうか。

ましてや植芝開祖は技を示されるだけで、説明されなかったとか。見えるのは、その人のその時点でのレベルの分だけです。精晟会横浜の松尾正純師範は「膝が動いてるのが見えるだろ」とおっしゃるので、膝だけ凝視していても見えないことがよくあります。それだけほんの少しの動きで、瞬間的なのです。

 

今おやりになっている多くの先生方の剣は、独自の解釈が入っていて当然だと思います。

 

 

そもそも開祖は、徒手では無構えです。「構えると、何をするのか相手にわかってしまう」とおっしゃっていたそうです。養神館では、構えます。なぜ構えるのでしょうか。それは塩田剛三先生が、基本として構えることが必要だとお考えになり、養神館合気道の体系をおつくりになったとしか考えようがありません。基本動作だって養神館独自のものですから、稽古方法として必要だとお考えになったのでしょう。

塩田剛三先生の演武の動画を見ても、養神館初期のもの以外は構えられていないのですから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは昭和37年に制作された映画が、DVD化されたものです。

 

 

 

私たちは養神館合気道なんだから、養神館のやり方が基本でいい

 

養神館では、徒手のときも構えます。前回のブログ記事でも引用した『養神館 合気道入門』では「構えとは、相手に対する<体>と<心>のおき方を表します」と書かれています。体も心も、攻めと守りに備えている。準備しているということだと思います。 

右半身の場合は、「足幅を1足半とり、右足はやや外側に向けて、左足はほぼ横向きにし、左右の足の延長線が直角に交わるようにする。右膝をやや曲げ、左膝はピンと伸ばす。重心は右足6、左足4の割合でかける」

「腰はまっすぐ前方に向け、手は体の中央前で強く開き、右手は胸の高さに、左手は腹の高さで体からこぶし1つ程度あける」とあります。

このことを「剣を構えたところから、剣を外し、手を開いたもの」と言われます。多くの剣の「中段の構え」「青眼の構え」に近いと思いますが、『養神館 合気道入門』では文章化されていません。もしかすると、私が簡単に書けない理由と同じかもしれません。

 

 

右手は胸の高さにとありますが、『養神館 合気道入門』に掲載されている写真では、右手は胸というよりも水月(みぞおち)の前になっています。古い映像を見ても、多くの先生方は右手は水月の前あたりにあります。剣の構えが元になっているなら、胸の前ということはありません。

ただ剣の構えがどうのというよりも、徒手の場合の構えなのですから、もっと大切な意味と意義があると、私は思っています。それからすれば、水月の前あたりでいいのだと思います。

 

 

 

構えは『中心力』を感じ、養成するための基本形

 

あくまでも個人的な意見ですが、指導者資格審査の論文に書いたことの一部なので、大きく間違ってはいないと思います。

構えでは体軸がやや前傾しているのですから、前脚を抜けば前に倒れてしまいます。その状態から構えると、胴体と腕がつくった三角形ができます。全身がまとまっていれば三角形の先端あたり、左右の手が上下で重なるあたりに倒れ込もうとするエネルギーが集中します。前方の斜め下に向うベクトル。

これが中心力の最も理解しやすいカタチ。そう私は思っています。中心力は、一線に乗っていく力と言われたりしますが、体の正面で、三角の先端に力を集中させる。体重や後脚から来る前進するエネルギーを集中させることだととらえれば、実感しやすくないですか。

 

 

 

剣を持てば、そのエネルギーが手より遠くの剣先に流れる

 

都剣連杖道部会会長・松井健二先生の著書『古流へのいざないとしての杖道打太刀入門』には、太刀の持ち方の基本として「手首を使わず、下筋で持つ」と書かれています。握り方については、「宮本武蔵や新陰流ともにほとんど変わらず、基本的にスナップの否定と言えます」とあります。

また切り手のときの右手の握り方については「掌底中心から人差し指付け根の線を維持したまま、(鍔のある太刀の場合)人差し指が鍔に当たらぬ程度に曲げればよい」とお書きになっています。

徒手の構えと関係のあるところだけ抜き出しました。とても参考になる本なので、ご興味があれば読んでみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

合気道としては、「スナップの否定」というところが重要。合気道的に解釈するなら、剣と一体化する。一体化して、意識を剣先にまで通す。手首でこねくり回さないということではないでしょうか。

 

養神館合気道としては、特に「下筋で持つ」というところ。著書の中では、「手首を真っすぐというと、上側の筋(橈骨側)を上にする人が多いのですが、これは違います」とあります。先ほど中心力、三角の先端に力を集中させると書きました。これを実際に相手に作用させる力にするには、下側の筋(尺骨側)がメインになるのだと思います。

 

 

 

骨格的につながり、骨を意識して使う

 

私なんかがこんな大胆なことを書いていいのかと思いますが、書かないと役立ちません。と、信じて書きます(笑)

臂力の養成は、二の腕の上腕二頭筋を使うのではありません。掴まれた腕を持ち上げようと、上腕二頭筋(いわゆる力こぶ)の収縮する力をメインにしてしまうと、ウエイトトレーニングになってしまいます。前腕のことだけで書くと、相手とぶつからず、上げていくためには尺骨側を伸ばすように意識しながら、押し出すようにしながら丸く上げていきます。

 

一ヶ条抑えで抑えるとき、鋭く痛くさせたいなら、掌底を使います。掌底部分の奥には、橈骨と尺骨があります。じわっと抑えるなら、手の平の真ん中あたりで包み込めばいいのだと思います。

 

倒れ込んだり重心移動したエネルギーを効率的にロスなく伝えるには、できるだけ骨格的につながっている状態にすること。

 

 

 

手の平は縦に真っすぐではなく、内側に絞る

 

養神館合気道 精晟会横浜の代表・松尾正純師範は、構えのご説明で、「剣を持った手を開き、少し内側に回す」とおっしゃいました。私は「おおっ」声をあげそうになりましたが、あげませんでした(笑)

肘の向きをキープしたまま、前腕を内側に回すと、肩が落ち、脇が締まるのです。体幹に腕が組み込まれたような、骨格的に強い状態になるのです。

 

 

先ほど書いた『杖道打太刀入門』では、「掌底中心から人差し指付け根の線」とあり、このような写真があります。

 

これを剣を持った状態で手の甲側から見ると、このようになります。

 

合谷のツボ、親指と人差し指の骨がまじわる手前あたりのくぼむところなのですが、それが剣の峰より内側に入ります。

理由は、稽古で体感してもらったのですが、剣を持って合谷が剣の峰が一致していたり外側だと、下から軽く持ち上げただけで剣が外れてしまいます。握っていた親指がほどけてしまう感じです。硬いものを打ったら、親指が開いてしまいます。

内側に絞られていると、親指は軽く握っているだけなのに、骨格で抑えられます。

 

順番は違いますが、これなら養神館の構えと同じです。徒手でも前方向に力を流す、中心力を発揮するには、やや絞った形が骨格的に強いのです。

 

 

参考までに

 

最初に安易に語れないと書きましたが、ある剣術の流儀では、構えから打つ瞬間までは、剣の峰と合谷が一致していて、当たる瞬間に絞るというところもあります。

理由は、その方が速く振れるからです。

ただ空手などでも、拳は握り込んでおくとするところもあれば、突き込む瞬間までは緩く握るとすることろもあります。スピードだと、握り込まない方がいい。でも途中で払われたり、肘など硬いところを拳にぶつけられたりする場合もあるので、安全のため固めて置く方がいいとする流儀もあります。

 

養神館の構えが中心力を感じ、感覚や体のあり方を養成するためだとすれば、内側に絞る方がいいと思います。

 

 

 

 

 

 

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