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「運動神経に自信がないのですが上達しますか?」への答え

May 31, 2017

 

そんな趣旨のことを体験の人から聞かれました。

私は「ん〜あんまり合気道やってる人は、運動神経のいい人は少ないかも(笑)」と答えました。合気道に限らず、型武道をやる人はそういう傾向があると私は思っています。運動神経抜群なら、たいがい自由な攻防がメインの武道や格闘技に行ってしまいがちです。


ところがそこが落とし穴かもしれません。型がなくて自由な攻防が中心になると、我流に陥りがちです。型武道であることのメリットもデメリットも両方あると思っていますが、初心者の段階ならメリットしかないはずです。
上級者、そして高段者にとっても、立ち戻って確認できる手がかりがあることは大切なのです。

 

 


型・形をきちんとトレースしていけば、上達していく養神館合気道の基本動作

 

ほとんどの合気道は型稽古が中心ですが、養神館の合気道ほど厳密ではありません。養神館の中でも団体や道場によって多少の差があると思いますが、構えや基本動作、基本技はそれほど変わりません。基本動作は、合気道の動きの中から抽出した6つの動作で成り立っていますが、姿勢の保ち方、中心力や重心移動の方法など養神館ならではの筋力に頼らない力の出し方を習得することができます。
養神館で稽古する技の段階は、ざっというと基本技→応用技・自由技
※詳しくは、こちら

その基本技の動きは、構えや基本動作に習熟すれば、ほぼできるようになってしまいます。

基本動作はひとりで行う「単独」、ふたりで行う「相対」、剣を持って行う「剣操法」もあります。単独ならどこでも稽古できます。
運動神経に自信のない人も、基本動作をひとりでやり込むのは、そう難しくないと思います。
指がどこにあるのか、歩幅は、つま先の向きは、視線はどうなっているのかなどをきちんと意識しながら行います。鏡で全身を見ながらやると、わかりやすいですね。
そして、この動作の意味はどうなっているのか、どういう効果があるのかを理解していれば、上達は早いはずです。


相対で行うと相手の体重や力がかかってきますが、その力の方向や強さを感じながら、単独で行うのと同じ動作になるようにして、姿勢の強さや心のあり方を養います。
相対は道場でしか行えません。このときに動かされまいと競いあうのではなく、自分の姿勢がブレずにどう相手を動かすか、動かされるのかを体感しながら行います。


また剣操法は、剣を持っていることにより、意識の使い方が違ってきます。よく剣などの武器術では、剣先まで意識が通ると言いますが、剣操法は剣先よりもさらに先を意識することで、ぶつからない動きの感覚を体感できると思います。

 

体感することや意識の使い方も、いわゆる運動神経がいい、悪いとはあまり関係がないのではないでしょうか。
これらによって、基本動作はただ動きの形を取得するのとは異なる次元の感覚が身につくはずだと私は考えています。

 

 


基本技では、隙のない動作や崩しの原理、そして投げや抑え方の基本を学びます

 

養神館合気道の基本技については、あまり言及された文章がないので私の私論です。
まず他の合気道に比べると養神館の基本技では、当て身が多用されます。当て身について故・塩田剛三先生は「(合気道開祖)植芝盛平先生は、実戦では当て身が7分とおっしゃっていた」と著書(合気道修行)に書かれています。著書の中で当て身は「拳や蹴りなどにこだわりません。体中いたるところが当身の武器になります」とお書きになっていますが、基本技の中で使われている当て身に限定して、話を進めます。


養神館の基本技の中で当て身を入れるところは、その多くが、もし当て身を入れなければ相手から攻撃されてしまう位置関係にあります。こちらが腕を持って崩していても、反対の手で殴られるとか、体当たりや蹴りなら可能だとかいう、いわゆる隙になっている角度なのです。だから相手を倒す以前に、こちらが倒されないためには、当て身が不可欠だということです。

 


当て身を入れた結果として、相手が崩れる。崩れたらさらに有利な位置関係になるように崩して、投げるとか、抑えるに持って行ける。崩しがなく、技を成立させるのは、現実的にほぼ不可能です。

基本技も、型の動きを正確に再現することで隙のない動きや、どうすれば相手を崩せるのかを学ぶことで、汎用性の高い合気道の原理原則を身につけることができます。投げたり抑えたりは、相手を崩した後の技術ですし、崩してしまえば多様な投げや抑えに持って行くことが出来ます。
基本技も型通りなので、運動神経がいい悪いとはあまり関係がないと思います。もちろん体格差やスピードの差などによって形は変わってきますが、この段階では何より崩せる原理の習得が優先です。
原理といっても数多くありますが、基本技の原理が理解できれば、もう茶帯から初段の域ではないでしょうか。


それ以上になると、次のような領域ではないでしょうか。

 

 


ところで、運動神経とはどういうことでしょう?

 

運動神経がいい悪いと言う場合、「運動能力」がいい悪いを指すのだと思いますが、ちょっとだけ神経系について触れておきます。
私たちが動くとき、まず目耳鼻舌皮膚など「感覚器官」が外の様子を刺激として受け取ります。
感覚器官からの刺激は「感覚神経」が、脊髄を中継して脳に伝えられます。脳は受け取った刺激を判断し、動けという命令を出します。命令は「運動神経」によって、それぞれの筋肉に伝えられます。だからこうしなきゃと分かっているのに、その通りに動けないことを「運動神経が悪い」と言うのかもしれません。

 

でも本当に「こうしなきゃ」が理解されているでしょうか。


立つための姿勢をどうするのか、歩くことの「こうしなきゃ」はどうでしょう。それを示しているのが、型です。動くこと運動することには、すべて重心移動がともないますが、養神館合気道では大きな力を発するための一番の元は重心移動です。構えの姿勢は、重心が移動しようとする寸前の状態を保っています。運動能力がいい悪いのベースになるのは、立ち方歩き方です。姿勢がかなり悪いのに運動能力の高い人はいくらでもいますが、それでなんとかなるのは10代や若者の間だけ。悪いまま激しい運動をすれば、故障してしまいます。


殴られそうになったときの「こうしなきゃ」はどうでしょう。横を向いて手を挙げたりするのが自然な、もしかすると本能的な反応かもしれませんが、あまり防御にはなりません。じゃあどうするかを示しているのが、型です。どう動くのがベストかは武道によって、流派によって違いますが、型が対応する動きを示しています。

 

武道では、「感覚器官」を騙すことが不可欠です。もっぱら目に誤った情報を与えるのが間合いですし、見えないところから何かするのが死角です。フェイントやコンビネーションの多くも、まず目を騙すことでしょう。そして合気道では、目とともに皮膚を騙します。腕を握ったり握られたり、そこから伝わる情報を操作します。入力が間違っていれば、脳だって騙されます。的確な判断も命令も反応もできません。

こういうことはどれだけ「運動能力」に優れていても、対応できるでしょうか。

やはり、いわゆる運動神経がいい悪いとは、それほど関係がなさそうですよ。

 

 

 

ご参考までに

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体験してみてください

 

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