【今後の基本的な方針】
合気道に限らず、多くの武道で稽古することが、ままならなくなっています。最大の理由は公共の場所の閉鎖です。政府の方針による小中高の休みにあわせてか、3月中旬まで、あるいは3月いっぱい閉鎖するという施設が多く、稽古ができなくなっています。
精晟会渋谷では、稽古場所が閉鎖されない限り、稽古を続ける予定です。
毎週月曜日に稽古している中目黒は民間のスタジオですので、閉鎖される可能性は低いでしょう。
一方、ほぼ水曜日に稽古している渋谷区スポーツセンターは、運営はティプネスですが渋谷区の施設です。武道場は使えていますが、ジムエリアが3月31日まで営業休止になっています。ですので、武道場もどうなるかは不透明です。
場所が閉鎖されなくても、国や都の要請や所属団体等から休止の通達があれば従います。
もちろん稽古に参加する人がゼロになれば、休止せざるを得ません
感染拡大の初期、ダイヤモンドプリンセス号からの感染は、感染を自覚していなかった検査官などが電車で通勤していますし、感染経路が分からない感染者が多数出ています。
[追記]3月9日の専門家会議で、クラスター感染に関する見解が公表されました。集団感染が確認された場に共通するのは ①換気の悪い密閉空間 ②多くの人の密集 ③近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声が行われた という3つの条件が同時に重なった場合。こうした場ではより多くの人が感染していたと考えられます。
電車の中や会議室、エレベーターなどは、①②③が重なりかねません。
稽古場所では換気を良くし、それほど密集していませんので、3つが重なることはありません。
それならリスクを適切に管理しながら稽古を継続する、ということが基本的な方針です。
【すでに行っている対策】
精晟会渋谷では2月後半から、稽古の10分ほど前から稽古場所の換気をし、ドアレバー等を除菌シートで拭いています。
そしてお互いに少しでも安心して稽古できるよう、稽古前稽古後の手洗いとエタノールによる消毒をルール化しています。 希望する方はマスク等の着用をOKにしています。
そして合気道を体験したいと申し込まれた方々にも事前に方針をご了解いただき、同じことをしていただいています。
もちろん風邪やインフルエンザなどでも飛沫感染がありますので、完全に菌やウイルスを防ぐことはできませんが、なんらかの自覚症状のある人が参加しないのはマナー。
新型コロナウイルスに限らず、さまざまな菌やウイルスはどこにでも存在しているのですから、手洗いは、もはや合気道稽古の一部として考えた方がいいと思います。
手洗いでどうなるんだと思われるかもしれませんが、感染症対策の基本は手洗いだそうです。
多くの企業や公共施設では、入口に消毒用アルコールを備えている。アルコール消毒すれば大丈夫じゃないのかと考える人もいると思いますが、アルコール消毒だけでは、やってる振りだけになるかもしれません。後述します。
ともあれ、手洗いです。
【手洗いとアルコール消毒の効果】
厚生労働省がかつてノロウイルス対策で出した手洗いの効果では、 ハンドソープで60秒もみ洗い後、流水で15秒すすいた場合、手洗いなしと比較してウイルス残存率は約0.001%です。
ところが手洗い自体は、なかなか効果的な方法を皆さんご存じない。稽古前にひとりひとり説明するのは、物理的に無理です。 そこで手洗いを動画にすることにしました。
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どう洗うかに関しては食品関連や医療現場での方法などさまざまですが、合気道を稽古する人がするべき方法はどうだろうと考えて構成しています。
一般的な手洗いの場合に汚れが残りやすいといわれているところと、合気道で持たれたりする場所はほぼ同じだと思います。 指先、指の間、親指、そして特に手刀部、手首の溝のところや手首の広い範囲は合気道の稽古ならではの汚れがあると考えられます。これらを擦り洗い、あるいは揉み洗いすることが必須ではないでしょうか。
動画は編集して流水で洗い流すところなど、かなり端折っていますので、時間は倍以上かけた方がいいと思います。
ちなみにCDC(米国疾病対策センター)のガイドラインは、こうなっています。引用します。
1.流水で手をぬらし、せっけんを付ける。水温やせっけんの種類(抗菌タイプか否か)は、
除去される病原体の数に影響しない。
2.手をこすり合わせ、せっけんを泡立てる。摩擦によって、より多くの病原体が除去される。
3.少なくとも20秒間、手を洗う。「ハッピー・バースデー」の歌を2回歌えるくらいの長さだ。
4.きれいな流水で手を完全にすすぐ。CDCによれば、ペーパータオルを使って蛇口を
閉めることが感染症予防に役立つという証拠はない。
5.清潔なタオルで手を拭くか、自然乾燥させる。
抜粋先は、ナショナル ジオグラフィックの良記事です。一読をお勧めします。
【アルコール消毒についての誤解】
それからアルコール消毒についてですが、さまざまな医師の記述を読んでみると、新型コロナウイルスにアルコール消毒は有効だそうです。コロナウイルスは2重の膜でできた殻に包まれたいるのですが、その膜は油に溶けやすい脂溶性で、膜が破壊されると変質し、感染力が低下するそうです。
ちなみにノロウイルスなど脂溶性の膜を持たないウイルスもあるそうです。これらのウイルスにアルコールは、何の意味もないされています。
私が先に「アルコール消毒だけでは、やってる振りだけになるかもしれません」と書いたのは、設置してあるアルコールを使っている人を見ていると、手の平や手の甲を擦っている人がほとんどだからです。それだと指先や指の間、手首の溝になっているところや手首はまったく残っています。
手洗いをせずにアルコール消毒をするのですから、まったく片手落ちです。
少なくとも稽古の前後には、何よりも手洗い。
それから感染するのは粘膜からなので、稽古中には自分の顏を触らない。相手の顏を触ってしまうような技も、当分の間はやらない方がいいと思います。