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合気道を理解するために役立つ知識や名言、歴史上のエピソードを、信頼度が高く、また再版されていない書籍などから引用したものをデータベースにしました。

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先生は、武徳会の剣道教士、柔道五段、六段などという猛者たちと、畑の中の道を歩いておられた。それをみたお百姓が、手に肥ひしゃくをもって、この一団のところにかけつけて来た。 「なんだ、お前たち、ひとの地所の中にへえって、どうしてくれるんだ!」 この辺のお百姓は評判の強欲者で、少しでも自分の地所に入ったというと、ゴタゴタとうるさく文句をいって嫌がらせをするのだった。「何! 生意気な、文句あるのか!」 相手が血気盛んの、それも事あれかしと待ちかねている若い連中だったから、たまらな い。 面白いじゃないか、やっちまえ、ということになりかかった時、一団の先頭を歩いておられた植芝先生は引返えし、猛者連をなだめ、お百姓の前に出た。 「お前様が大将か? 大将なら話がわかるだろう。一体、人の地所内にふみ入るとは何事だ」 「お話はよくわかった、我々が悪かった、どうか勘弁して下さい」と物柔らかに頭を下げられた。 何かしかけようとしたら、手にもった肥ひしゃくで糞尿を頭からふりまいてやろう、と気負っていたお百姓も、それに拍子ぬけしたのか、それとも事を荒立てたら、かえって自分がどうなるかわからない、といって今は引くにも引けず、というところを救ってもらって安心したのか、引下っていった。 「先生!あんな生意気な百姓やっちまえばいいですのに」「馬鹿いいなさんな、頭からこやしをかけられたら、くさくてたまらんよ、ハハハハ」 植芝先生はそう笑って、そこを去っていかれた。よく事情をきくと、お百姓のほうが悪かったのであるが「悪を悪として切らず、悪を祓いて浄めて、和合してゆくのが合気道じゃからのう」植芝先生はそうあとで教えて下さった。

悪を悪として切らず

武産合氣

高橋英雄

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